この世界には、ふたつの「現実」がある。
ひとつは、カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウなどの地方があるヒカイ。
もうひとつは、その裏側に広がる、もう一つの現実――メイカイ。
メイカイは、ヒカイとは別次元に存在する、独立した世界。
ヒカイの人々はそれを「死後の世界」と呼ぶが、そこは“もう一つの現実”で二つの世界はまるで鏡合わせのように存在している。
ヒカイで命を終えた者は、メイカイで新たに生まれ、メイカイで命を終えた者は、ヒカイで生まれる。
前世の記憶は風に溶け、ほとんどが新たな生を歩み出すが、時折、遠い昔の夢を覚えている者もいるという。
ふたつの世界は、互いに映し合いながら、
静かに、絶え間なく、命を紡ぎ続けている。